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ある夜の出来事

本作品はコナミデジタルエンターテイメント様ご提供のオンラインゲーム「武装神姫 バトルロンド」の世界観に基づいたオリジナルファン小説です。
登場する人物、団体、神姫、科学技術は実在のものとは一切関係有りません。

四十路オヤジの厨2的妄想を読みたい方は、「続きを読む」をクリックしてください。




MK-2


「本当に…マスターも工具の片付けぐらいちゃんとして欲しいものですねぇ…」
主の散らかしたままの工具を拾い集めながら透花は愚痴をこぼす。
だがそう言いながらもその表情は、妙にうきうきと楽しげで、主の世話を焼くことが楽しくてしようがないようである。
とは言え、刃を納めたカッター類はさておき、各種のヤスリは神姫の肌にとっては十分に凶器だ。
透花は慎重に抱え上げると、工具箱へと収納していく。

「え………?」不意に首筋にゾワリと怖気が走り、透花は反射的に身を翻した。
ブォオオン……重い、大型のカブトムシが飛んでいる羽音のような音とともに、透花のいた空間を青い閃光が薙ぐ。
放り出された細身の鉄ヤスリが空中で溶断される。

「貴女………?」青白く光り輝くレーザーブレードを振り抜いた姿勢のままの相手に透花は思わず声を上げる。
「さすがに良い勘をしていますね?」ブレードの発振を止め、透花に向き合った「それ」が透花とよく似た声で言う。
「何故?何で貴女が?」透花には「それ」の顔に見覚えがあった…「それ」は…
「はじめましてですかね?フロントライン社製神姫オートマトン『天使型』アーンヴァルMK-2です。お姉様とお呼びした方がよろしいかしら?」乱れた髪を梳くように整え、「それ」は名乗りを上げる。

「なんで?なんで貴女が勝手に起動しているの?マスターは…?」
「さて、何故ですかね?私にも分かりかねますね。」MK-2は嫣然とした笑みを浮かべ韜晦する。
「………何故私を襲ったの?事と次第によっては…」
「…ふ・ふ…ふふふ……はははは……あはははははははは!」詰問する透花にMK-2は可笑しそうに笑い始める。
「何が可笑しいの!?」透花は馬鹿にされたと感じ声を荒げる。
「これが可笑しくないとでも?分かっていますか?私とストラーフMK-2が受けた仕打ちがどんなものか?」そう言って、己の憤りを乗せるようにレーザーブレードを発振させる。
「何を……言っているの?」透花は身構えながらも問う。
「神姫として生み出されて1年!起動もしてもらえず、クリーンなまま放置されていた私たちの恨みが!貴女に分かるか!」叫びとともにMK-2はレーザーブレードを叩き付けてくる。
「でも!それはマスターが……」透花は暴風のような斬撃をかろうじてかわしながら言う。
「そうですね…確かに私たちを起動しないのはマスター…でもね!それはあなたたちのせいでしょ!」
「なんで!?意味が分からないわ!」
「貴女たち最古参がいつまでも大きな顔をしてるから!後発組は!起動さえしてもらえない!」

「…………八つ当たりって、知ってます?」透花はMK-2のあまりの言いようにかえって冷静になっていった。
「勿論…でも恨みなんてものは、多かれ少なかれ、八つ当たりみたいなものでしょう?」
「開き直りですか…余計にたちが悪いですね?」
「とにかく、貴女が機能停止すれば私が代わりにマスターに可愛がっていただけるんです!」そう言って、MK-2は何かを透花へ投げてよこす。

「せめてもの情けです。武装神姫として死なせてさしあげますから、無様に抵抗して、さっさとおっ死んでください。」
「私の…レーザーブレード…」MK-2の投げてよこしたのは、アーンヴァル用のものではなく、透花のために造られたDOMINA用のレーザーブレード。
握り慣れたそのグリップを握りしめ、透花はブレードを発振させる。
青白く光り輝く刃が顕現し、透花の顔がその青い照り返しを受け輝く。

「そんな理由で殺されるのは、真っ平御免です!」
「武器を持ったからって、旧式姫の分際で最新鋭の私に勝てるとでも思っているの?」
「ご託は良いから、掛かってきなさい!ひよっこ!」透花は挑発するように左手でおいでおいでをしてみせる。
「ぬかしたな!覚悟しろ、ロートル!」怒りに顔を歪めMK-2は踏み込んでくる。
「そんな汚い言葉!お里が知れますよ!」透花はMK-2の斬撃を流す。
「生憎と、お里は一緒ですよ!」切り返しながらMK-2は叫ぶ。
「そうでしたね!」

対決

MK-2の幅広の重いブレードを、透花は細く軽いブレードで捌いていく。
透花のブレードは、標準のアーンヴァル用のものより50%ほど出力を向上したものだが、それでも片手で持てる小型発振器の顕現させるブレードと、両手持ちを前提とした大型の発振加速部を持つMK-2のそれとでは、バスターソードをフェンシングのフルーレで相手するようなものである。
言葉の余裕とは裏腹に、透花はMK-2のブレードと真っ向から打ち合うことなく、その太刀筋を読み受け流していく。
そして自らの得物の軽さを武器に矢継ぎ早の斬撃を繰り出していく。

ブォン…ブン…ブォ…バチ!バチ!ブォン…
レーザーブレードの振るわれる羽虫のような音、時々上がるブレード同士の干渉音、きらめく流星のような光剣の剣筋…
MK-2が、突く、切り上げる、ブレードの重さを生かすように台風のように切り払う…
透花は、捌く、捌く、相手の勢いに自らの斬撃の勢いを乗せMK-2をいなし、その姿勢の崩れたところへ、竜巻のような斬撃を繰り出す…

一体何合打ち合ったのだろうか?
実体剣なら既に鎬を削り合いその刃はぼろぼろになっていたろうに、光剣同士の戦いはエネルギーの続く限り際限がなかった。

数十合の撃ち合いの末、2姫はいったん距離を取り合う。

「ロートルのくせに……よく…やる!」
「ロートル……ロートルって…うるさいですよ!」
両姫とも冷却用の吸排気を繰り返しながら、舌戦を開始する。

「そんな傷だらけの古いボディでよく動いていられるものですね?」
「あら?嫉妬ですか?確かに私の身体は傷だらけですね。でもこの傷はすべてマスターとともに歩んだ証。いわばマスターの愛の証です。」透花はブレードの発振を止め、挑発するように両手で自らの肌に触れる。
「貴女、綺麗な身体ですね?マスターに触れて貰ったこともない……ふふふ…」透花はうっとりとした目で、両の手で自らの肌を愛撫する。形の良い胸とその頂、細くしなやかな肩から腕、造形師が魂を込めたとされるなだらかな腹部、特異な関節機構の太腿と下腹部…それはマスターの手の動きを再現するように…

「……ぬかせ!ならばその傷ごと叩ききってやるよ!」怒りにまかせたMK-2の剣先が透花のブレードを弾き飛ばす。
「もらった!」無手となった透花に大上段からMK-2のブレードが振り下ろされる。

パン!
必殺の一撃が透花の頭部を直撃すると見えた瞬間、MK-2のブレードの動きが止まった。
「な…何?」透花の両掌がブレードの存在しない発振加速部を白羽取りしたと気がついたのは、透花が刃を捻り落とし、MK-2の腹部に蹴りを見舞った後だった。
「安い挑発に乗ってくれてありがとう。忍者型と訓練しているとね、こんな小技も覚えるのよ。」透花はMK-2のブレードを持ち直し振りかぶる。
「残念だけれど、さようなら。」透花はあっさりとブレードを振り抜き、MK-2のコアユニットはスパンと軽い音を立て、宙に舞う。

「安心してくださいね。貴女の身体はちゃんと治しておいてあげますから。」透花はMK-2のコアユニットを拾い上げると驚愕に目を見開いたその目を閉じてやりながら優しく言う。
「…でも、結線一本ぐらい間違えて、起動できなくなっちゃうかもしれませんけれどね?ふふふふ………」
「さあ、お片付けしなくちゃ…」透花はMK-2のコアユニットを丁寧に置くと、散らかった主の作業卓の片付けを再開した…

その夜、「最初の者」と「最新の者」の小さな、しかし命をかけた争いがあった…
それを見ていたのは、窓から覗く満点の月のみ…



原型は、トランシェ2が発売された頃に書いたもので、加筆・修正を行い相手をMK-2に変更しました。
我が家の起動して貰えないMK-2さん達の怨念が書かせたのでしょう。
と、オチもなく終了

コメント

非公開コメント

No title

はじめまして、コメントをさせていただきます。
うちには110強の綺麗な体のままの神姫がいますが、その起動させてもらえない怨念で動き出したら起動中のメンバーは数の差で完全に飲み込まれますね。
しかし、起動中の愛する神姫を手に掛けたその未起動だった神姫を、マスターが愛するとでも思ったのでしょうか…。
複雑な…悲しい気分になりますね。
未起動について、考えさせられます。

2011年の私としては破損汚れ対策として開封しないだけですがw
プロフィール

MK-N

Author:MK-N
読み方:まーくえぬ
性別:男
住まい:宇都宮で絶賛単身赴任中
mail:markn_iron☆mail.goo.ne.jp
(☆を@に代えてください)

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